消費税の仮払・仮受の申告

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消費税とは、モノを消費した際に課される税金で、 国税分の4%と地方税分の1%の合計5%から成る税金 を言います。

一般的には、消費税5%といったような言い方をしますが、実際には4:1といった分け方がされているんですね。

ちなみに、簿記上では4%分と1%分を合計して「消費税等」といった おおまかな表現をしています。

さて、その消費税ですが事業者が商品を販売した時や 購入した場合には必ず計上しなくてはならない税金になってきます。

その処理方法としては2通りあるのですが、簿記上における 簡単な解説をしてみたいと思います。

消費税は、おおまかにわけて税込方式と税抜方式の2通りにわかれています。 税込方式とは、商品を販売した際や購入した際に(売上)(仕入)価額に 一緒に計上される形になります。

この方式は営業期間の期末に計算をするだけなので、 結構簡単な処理方法とされています。

ただし、期中の取引で数値ミスなどがあった場合、 その大元のミス原因を探し出さないと更正できないので、キッチリと 経理管理が出来る人向けの処理方法になります。

では、その税込み方式の場合、どういった計算方法をとるのかというと、 期末の売上・仕入の価額に対して、5×5/100(5×5÷105)といった方法をとります。

税込価格は商品の100%に対して5%が付加された価格なので、全体の105%分の5%が 消費税分というのは問題ないかと思います。

ちなみに、どうして売上・仕入の価格に 対して消費税分を算出するのかというと、購入する時も、販売する時もどちらにも 消費税を受け取ったり払ったりしているからなんですね。

それではひとつ例を出して見たいと思います。

1、商品9450円(税込価格)を掛で仕入れた
2、得意先へ商品21,000円(税込価格)を掛により販売した

この場合、仕入(購入)9450円分に対する消費税は上記算式から算出すると、 450円になります。

では、一方の売上(販売)21,000円分に対する消費税はというと、 1,000円になります。

では、これで計算はおわりなのか?というとそうではないんですね。

実は、この算出された消費税額は払った分と受け取った分で相殺計算を しなければならないんです。

なぜなら、支払った際の消費税というものは、 税金の先払い(資産)とされ、受け取った分は税金の預かり金(負債)といった性質を 持つからなんですね。

では、この場合だとどのようになるのかというと、

税金の先払分:450円
税金の預かり分:△1,000円

つまり、この場合預かり分の消費税額(負債)は550円となります。 そして、この550円は税務署に納めなければならない「消費税額」 になります。

さて、これで納めるべき消費税額が算定されたのですが、 簿記上においてはどういった仕訳(しわけ)がなされるのでしょうか、 ちょっと記載してみたいと思います。

借方

貸方

(租税公課) 550 (未払消費税等) 550

まぁ、こういった感じになります。左側(借方)の「租税公課」は、 P/L上の販売費一般管理費に計上される費用項目、また、 右側(貸方)の「未払消費税等」はB/S上の負債(流動負債) といったものになります。

あくまで、簿記上の科目名称は 期末におけるものになるので、支払うべき消費税額は 【未払】といった形になるんですね。

支払いがなされるのは翌期 になりますから。

それでは、次にもう一方の処理方法『税抜方式』を見てみたいと 思います。

税抜き方式とは、消費税額を購入(仕入)、販売(売上)の都度、 別表示する方式になります。では、実際にはどういった処理方法をするのか 見ていきたいと思います。

基本的に、前述の『税込方式』に似ているのですが、同様の例題を 使って考えてみます。

1、商品10,500円(税込価格)を掛で仕入れた
2、得意先へ商品21,000円(税込価格)を掛により販売した
3、商品12,000円(税込価格)を掛で仕入れた
4、得意先へ商品26,000円(税込価格)を掛により販売した

No 借方 貸方

(仕  入) 210 (買掛金) 210
(売掛金) 525 (売 上) 525
(仕  入) 105 (買掛金) 105
(売掛金) 1050 (売 上) 1050
(仕 入) 315 (売 上) 1575

これまでの、税込方式の場合だと期末の合計から計算式を使って、仕入分の【消費税の先払い額】 は315×5/100=15円となり、もう一方の【消費税の預り分(税務署に納めなければならない分)】 は、1575×5/105=75円・・・となり、相殺処理をする(15円分は既に納めたものと考えられるので 預かり分(未払)から減額処理をする)と60円になっていたんですね。

しかしながら、税抜方式では、一回一回ごとの取引において消費税額の 算定を必要とします。つまり、例題1の10,500円を仕入れた際には、 同時に消費税額を算定し、仕入れの分から控除しなければならないんです。

仕訳を表示してみると、

借方 貸方

(仕 入) 200 (買掛金) 210
(仮払消費税等) 10

といった形になります。実際に支払った額は、210円なので 買掛金の額は210円のままです。

しかしながら、仕入れた原価のうちに 税金の「先払い額」が入ってしまうと適切な損益計算を損なう 可能性があるので、科目表示として『仮払消費税等』といった ものを使って「資産」の部に別立てするんですね。

では、逆に売り上げがあった場合にはどうなるのでしょうか?ちょっと 見てみましょう。

借方 貸方

(売掛金) 525 (売 上) 500
(仮受消費税等) 25

これも前述の仕入の際と同じで、売掛金は実際に受け取った額 なので525円でそのままになります。

では売上はというと、実際に 儲かった分は税金として受け取った額を引いたものでなければ ならないので(適正な(期間)損益計算のため)、500円といった 形になります。

そして、ここでも消費税として受け取った額・・・ つまり、実際に税務署に支払う必要がある額を「仮受消費税等」(負債) と別立てしているんですね。

では、上記の1と2だけが今期の取引だったとします。

その場合、期末に算定される税金(消費税)を納める額はというと、 支払う必要がある額(仮受消費税等)から、先に支払ったとされる額(仮払消費税等) を減額した額・・・つまり、それ(15円)が納付すべき消費税になるんですね。

ちなみに、簿記上 での処理を見てみると

借方 貸方

(仮受消費税等) 25 (仮払消費税等) 10
(未払消費税等) 15

といった具合になります。

まぁ、仮受・仮払といった1取引ごとの処理が でてくることと、期末における「租税公課」のP/L項目が出てこないということが、 税抜方式の特徴でしょうか。

ちなみに、消費税というのは「売上」というものが1,000万円 を超過する規模ではないと、徴収してはいけないという決まり があります。

よく、ヤフーオークションなどでは 『消費税の負担をお願いします』などという 出品者がいますが、1000万円もの売上を上げていて、 かつ納税の申告をしているのか・・・非常に怪しいところですね。

負担だけをさせておいて、納税しない場合、これは【益税】 といって、フトコロにそのまま入り込むものになりますので、 あまりにも悪質だと、税務署から指摘がいく場合もあります。 消費税を払う側も、要求する側も注意していかないとならない ところですね。