源泉徴収について

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通常、企業で働くサラリーマンは給与所得に対して「源泉徴収」という方法で課税がなされています。しかしながら、その意図や歴史的背景というものはあまり知らないのではないかと思います。

そんなわけで、ここでは「源泉徴収」というものについて、歴史的背景を交えながら簡単に説明してみたいと思います。それでは、まず源泉徴収の歴史から・・

源泉徴収は、戦費遂行財源を調達する目的で、ナチス・ドイツの制度に範をとって1940年に導入された比較的新しい制度になります。戦争に際して税収とは、軍事費に充てるための貴重な財源であり、捕捉率が限りなく100%に近い源泉徴収方法は実に合理的かつ徴収側としても都合のよいものであったわけです。

さて、そんな源泉徴収制度なのですが、敗戦後、アメリカの管理の下GHQにより「民主主義の根幹である確定申告」に反するとして否定されることになります。まぁ、自国で当然のように確定申告が行われているわけですから、それを日本に取り入れよう・・・という考えは自然の流れですよね。

しかしながら、日本は「現実性を欠く」ということから、この確定申告の導入を拒否することになります。「課税の簡素化」という観点からすれば納税者の処理が煩雑になることは確かですから、あながちこの「大義」もわからないこともないわけです。

とはいっても、実際のところは、これまで利子・配当所得といったものにしか適用されていなかった源泉徴収制度を大衆所得にまで拡大した「おいしい制度」を手放すわけにはいかない・・・という国側の意図が見え隠れするのですが(笑)

それで結局は、1947年にGHQは所得税に申告納税制度を採用されることになります。ただ、日本側は現実的でないとして一貫して抵抗を続けることになります・・・まぁ、その甲斐あってか「年末調整制度」を導入することになるんですね。

ちなみに、その後の1949年におけるシャウプ勧告でも納税者の確定申告は拒否すると共に、当初は確定申告が必要だった生命保険料控除、損害保険料控除や配偶者特別控除なども年末調整で処理するようにしていくことになります。

まぁ、こういった流れで源泉徴収は出来上がっていったわけなんですね。端的に言ってしまえば、政府側の意図たる「税収確保」が第一義的なものとしてあったということですね♪

ただ、そういった意図があったとしても、実は我々納税者の側としてもメリットは享受できているんです。いくつか例を挙げると・・

1、雇用主による徴収
2、時期不定の受給時毎納税

といったものになります。第一の「雇用主による徴収」 は、本来自分で税額を計算して税務署に納税しなければならないという面倒を省いてくれていますよね。

また、第二の「時期不定の受給時毎納税」・・・これなんかは、一年に一回の一括納税もしくは、分割払いの予定納税(年3回分割)による、税金が払えなくなるという可能性を排除しています。

ちなみに、予定納税というものは前年度の納税実績に従って、その納税額の1/3ずつを翌年に前払いで3回にわけて納めるものになります。

まぁ、源泉徴収も前年度の給料に対する納税額を給与受給月数で按分して前納しているので、予定納税の分割が多いバージョンと言ってしまってもいいんですがね(ちなみに、今期の給料が前年に比べて少なかった場合には、前年の納税額にあわせて前払いしている源泉徴収分は「過払い」になるので、年末調整で戻ってきます)。

少々話が飛んだりもしましたが、結局は、源泉徴収というものは国家側の意図たる「確実な税収確保」と、我々納税側の「課税の簡素化」というものによって現在まで維持・継続されてきた制度といっても過言ではないわけです。